ウェブデータドリブン

GoogleのAI検索(AI Overviews)や、PerplexityなどのAI検索エンジンが次々と登場し、「これからのSEOはどうなるの?」と不安を感じてはいませんか?

「うちのサイトも、急いでAI対策をしなければいけないのでは……」
「せっかくこれまでSEOを頑張ってきたのに、無駄になってしまうのではないか……」

そんな風に、目の前の変化に対して焦りやモヤモヤを抱えているウェブ担当者や経営者の方は、今本当にたくさんいらっしゃいます。

日々、多くのお客様のGA4分析やサイト改善をサポートしている私たちのもとにも、「どうすればAI検索に自社を取り上げてもらえるのか?」という切実なご相談が寄せられています。

ですが、少しだけ落ち着いてください。

焦るあまりに、世間にはびこる機械(AIのアルゴリズム)に気に入られるための、小手先のテクニックに飛びつくのは、非常に危険です。なぜならそこには、自社サイトの成果を無駄にしてしまいかねない大きな罠が潜んでいるからです。

もし、AIに読み取られやすくするためだけに、専門用語をこれでもかと詰め込んだ、人間味のない無機質な記事に書き換えてしまったらどうなるでしょうか?

確かに一時的にAIのシステムには好かれるかもしれませんが、その記事にたどり着いた大切な人間のユーザーはどう感じるでしょう。「なんだか冷たくて、読みにくい文章だな」と感じて、すぐにサイトを閉じてしまうかもしれません。結果として、いくらアクセスがあっても、問い合わせや購入といった成果にはも繋がらなくなってしまう可能性もあります。これでは完全に本末転倒です。

だからこそ、機能やシステムではなく、常に人(ユーザー)を見て仕事をしなければなりません。

実は、AI検索がどれだけ普及しても、検索の本質は何も変わっていません。AIは魔法のようにゼロから新しい事実を生み出しているのではなく、インターネット上にある、最も信頼できて分かりやすい答えを探してきて、ユーザーに紹介しているだけなのです。

この記事では、AI検索がどのようにしてウェブサイトを引用しているのかという仕組み(技術)を分かりやすく整理します。そして後半では、変化に振り回されずに成果を伸ばしていくための本質的なアプローチをお伝えします。

この記事のゴール

  • AI検索の技術的な仕組みがすっきりと理解でき、これからのSEOに対する余計な不安や焦りが消え去ります。
  • AIが思わずユーザーに推薦したくなるような、信頼性の高いコンテンツの条件が分かります。
  • 目先の流行りに振り回されず、ユーザーにとっても、AIにとっても最良のコンテンツを作成するための考え方が身につきます。

システムを攻略しようと躍起になるのを、一度お休みしてみませんか? 画面の向こう側にいるたった一人のユーザーに向き合う、最もシンプルで確実な方法を一緒に学んでいきましょう。

AI検索が参照元のWebサイトを選ぶ3つの評価基準

「AI検索に引用されたい」と考えるなら、まずはシステムを知ることから始めましょう。AI検索が、数あるウェブサイトの中から「どの記事を引用するか」を決めるプロセスにはルールがあります。

現在、多くのAI検索はRAG(検索拡張生成)という仕組みで動いています。難しそうな言葉ですが、要するにAIはネット上から信頼できる情報を集めてきて、それを要約してユーザーに説明しているだけなのです。

ではAIは、どのような基準で情報を選び出しているのでしょうか。3つの評価基準を解説します。

① 基本は既存のSEO評価が高いこと(大前提)

多くの人が勘違いしがちですが、AIはインターネット上のすべてのページをリアルタイムでパトロールして記事を選んでいるわけではありません。

ユーザーから質問されたとき、AIはまず、Googleなどの検索エンジンのシステムを使って、すでに検索結果の上位に表示されているページを数十件、高速でかき集めてきます。その集まった上位ページの中から、さらに質問の答えにぴったりな部分を抜き出しているのです。

つまり、AIに引用されるための絶対条件は、従来のSEOで高く評価されていることです。キーワードの適切さやドメインの強さ、被リンクといった基本のSEOができていないページは、どれだけ素晴らしい内容であっても、AIの検索対象にすら入りません。まずは、従来の検索エンジンで上位を狙うことが、そのままAI検索の対策のスタートラインになります。

② 情報の正確さとウェブサイトの信頼性(E-E-A-T)

AI検索を提供するGoogleなどの企業が、いま最も恐れているのは何だと思いますか?それは、AIが間違った情報やもっともらしい嘘を堂々とユーザーに伝えてしまい、検索エンジンの信用を失ってしまうことです。

そのため、AIは引用元のサイトを選ぶ際、情報の正確さやそのサイトの信頼性を、私たちの想像以上に厳しくチェックしています。ここでGoogleが最も重視しているのが、E-E-A-Tと呼ばれる評価基準です。

これはGoogleが定めている「そのサイトや、書いている人は、本当に信用して大丈夫?」をチェックするための4つの基準です。

  • Experience(経験):書いている本人が、実際に体験したことか?
  • Expertise(専門性):その分野に詳しいプロが書いているか?
  • Authoritativeness(権威性):周りの人からも、一目置かれているサイトか?
  • Trustworthiness(信頼性):嘘がなく、安全で、ユーザーを騙そうとしていないか?

たとえば、あなたがお腹の痛みを治す方法をネットで調べるとき、どこの誰が書いたか分からない匿名のブログと、専門のお医者さんが書いた病院の公式サイト、どちらを信じますか? おそらく、迷わずお医者さんのサイトを信じますよね。

AIも、これとまったく同じ判断をしています。このE-E-A-Tの点数が高いウェブサイト(政府機関や専門クリニック、業界のトップ企業など)の情報を、優先してユーザーに引用するのです。

③ AIがデータを抽出しやすいHTML構造

AIは、私たち人間と同じように目で文字を見ているわけではありません。ページの裏側にあるHTMLというコードを読み取り、瞬時にデータを処理しています。

そのため、AIにとってデータの意味がハッキリと分かりやすく整理されているページほど、情報を正確に抜き出しやすく、引用される確率が高くなります。

具体的には、以下のようなページ構造が好まれます。

  • 見出しと本文の対応関係が明確で、何について書かれているかすぐに分かる
  • 質問に対する答え(結論)が、見出しのすぐ後に簡潔に記述されている
  • データや比較が、箇条書き(リスト)や表(テーブル)できれいに構造化されている

AIに引用されるために必要なのは特別なAI専用の技術ではなく、検索エンジンに正しく評価され、データが整理された、信頼性の高いページであることという極めて王道な条件なのです。

技術が変わっても、機械ではなくユーザーを見ましょう

ここまで、AI検索がウェブサイトを引用する3つの評価基準という、技術的な話をお伝えしてきました。ここまでの内容を読んで、あなたはどのように感じられたでしょうか?

「既存のSEOが大事で、正確な情報が必要で、分かりやすく整理されているページが選ばれる……。あれ、それって私たちがずっとやってきた『ユーザーのためのサイト作り』とまったく同じじゃないか?

そうなんです。実はお気づきの通り、AI検索に好まれる条件とは、これまで私たちが目指してきたユーザーにとって、最も価値があり、読みやすいページそのものなのです。

では、なぜ目新しいAI対策(LLMOやGEOなど)という言葉に惑わされ、システムを攻略しようとしてしまうのでしょうか。ここからは、技術が変わっても揺るがない、サイト運営の根っこの考え方を深掘りしていきます。

① 攻略法としてのAIハックがすぐに無効化する理由

インターネットの歴史を振り返ると、新しい技術が登場するたびに、こうすればシステムを攻略できるという、いわゆるハック(裏技)が流行してきました。

たとえば、一昔前のSEOでは、記事の中にキーワードを100回詰め込む、中身のない大量のサイトからリンクを貼るといった手法が本当にもてはやされていました。当時は、システムの隙を突くことで、実際に検索順位が上がってしまったからです。

しかし、そうした手法の寿命はとても短いものでした。Googleがシステムをアップデートするたびに、小手先のテクニックを使ったサイトは一瞬で圏外へと吹き飛ばされ、多くのアカウントが消えていきました。みなさんの周りでも、そうした苦い経験をされた方がいるかもしれません。

今まさに起きているAI検索対策でも、まったく同じことが起きようとしています。

「AI検索に取り上げてもらえるように、記事の書き方を統一しよう」「AIに引用されやすい特定のキーワードをちりばめよう」といった細かいテクニックは、もしかすると来年にはまったく無意味になっている可能性もあります。システムの隙を突くいわゆる攻略法を追いかけ続けるのは、終わりのない、そして非常に疲弊する鬼ごっこをしているようなものなのです。

② AIの進化とは人間のユーザーへの寄り添いの進化である

そもそも、なぜ検索エンジンやAIを開発している企業(Googleなど)は、莫大な資金を投じてシステムをアップデートし続けているのでしょうか?

その目的は、ただ一つ。検索してくれるユーザーの疑問を、最も分かりやすく、最もストレスなく解決することです。

開発者たちは、システムを良くするために働いているのではありません。システムを使ってくれる生身の人間を満足させるために、日々AIを賢くしているのです。

つまり、AIの進化の歴史とは、どれだけ人間に寄り添えるかそのものです。

AIは、ユーザーが知りたいことや、読みやすいと感じる表現を、データを通して日々学習しています。ということは、私たちがシステム(AI)ばかりを見て記事を書くのは、完全なズレが生じてしまいますよね。開発者が人を見ているのですから、私たちも人(ユーザー)を徹底的に見つめること。これこそが、実は最大のAI対策になります。

先ほどのAIに好まれる3つの基準を、ユーザーの視点で言い換えてみましょう。

  • 検索上位にある:多くのユーザーに支持されている証拠
  • 情報の正確性が高い:ユーザーに嘘をつかず、誠実に価値ある事実を伝えている証拠
  • データ構造が分かりやすい:忙しいユーザーの時間を奪わない、親切で丁寧な設計の証拠

どうでしょうか。すべて、目の前のユーザーを満足させるための、ごく当たり前で誠実な対応ですよね。

どうすればAI検索に表示されるか、という質問に対する答えは、技術の進化とともにすぐに形を変えてしまいます。しかし、どうすればユーザーの役に立てるかという本質は、インターネットが生まれてから今日まで、何ひとつ変わっていません。機械ではなく、目の前のユーザーを見つめること。これこそが、変化の激しい時代を生き残るための、最もシンプルで確実なセオリーなのです。

ユーザーにもAIにも評価されるWebコンテンツの作り方

ユーザー第一の考え方が大切であることは分かったけれど、具体的にはページの形をどう整えればいいのだろう、と疑問に思いますよね。

ここでは、明日からすぐに実践できるライティングとページ設計の具体的なルールを解説します。どれも、ユーザーにストレスを与えないための設計であり、結果としてAIにとっても非常に読み取りやすい形になります。

① 結論から述べるPREP法

文章を書くときは、必ず結論から書き始めるPREP(プレップ)法を意識しましょう。PREP法とは、結論(Point) ➔ 理由(Reason) ➔ 具体例(Example) ➔ 結論の繰り返し(Point)の順番で伝える構成テンプレートのことです。

スマホで調べものをしている忙しいユーザーは、自分が欲しい答えが3秒以内に見つからないと、すぐに諦めて元の検索画面に戻ってしまいます。最初の1文目で明確な答えを示すことは、ユーザーの離脱を防ぐための必須の配慮です。

そして、これはAIにとっても同じです。AIは、見出しのすぐ後に簡潔な回答が書かれているページを見つけると、情報を正確に処理しやすくなり、検索結果の画面にそのまま引用しやすくなります。まずは結論から話す、と意識しましょう。

② ユーザーの疑問に先回りするQ&A見出しの設計

ウェブサイトの記事にある見出しは、ユーザーにとっての案内板であると同時に、AIが記事の全体像を理解するための道しるべでもあります。

ここで効果的なのが、見出しの形を、ユーザーが頭の中で抱いている疑問そのものの形(Q&A形式)にしておくことです。

AI検索を使うとき、多くのユーザーは「〇〇とは?」「〇〇を解決するにはどうすればいい?」といった具体的な疑問を投げかけます。記事の見出しをこの質問の形に合わせておくことで、AIに対して、ここにその質問の答えがありますよ、とアピールすることができます。

たとえば、単に「パラメータの設定について」という無機質な見出しにするよりも、「メルマガの効果を測定する設定方法は?」という見出しにするほうが、ユーザーにとっても、AIにとっても、何が書かれているかが一目で分かります。

③ 箇条書きや表(テーブル)による情報の整理

長々と文字だけで書かれた文章は、どれだけ良いことが書かれていても、スマホの画面では非常に読みづらく、見落とされてしまいます。

情報の比較や手順を説明するときは、積極的に箇条書きや表を使って情報を整理しましょう。ユーザーの読む負担を減らすための、最も基本的な配慮です。

そして、整理されたデータは、AIにとっても非常に抽出(処理)しやすい形式です。AIは、箇条書きや表で構造化されているデータを見つけると、内容を正確に要約しやすくなり、検索画面の回答にそのまま引っ張っていきやすくなります。文章を書き終えたら、箇条書きや表にまとめられる部分がないか、見直してみましょう。

変化に振り回されない、最もシンプルで確実なSEO対策

AI検索に引用される記事の条件について、その仕組みから具体的な改善の考え方まで、押さえるべきポイントを整理してきました。

最後に、この記事の重要ポイントを整理して振り返りましょう。

  • AI検索の基本は、既存のSEO評価である
    AIはゼロから記事を探しているのではなく、すでに検索上位にある信頼性の高いページから情報を要約してユーザーに届けている。
  • ユーザー最優先の設計が、最大のAI対策になる
    AIは、人間にとって最も分かりやすい情報を探している。機械のための対策ではなく、目の前のユーザーに向けた誠実な対応こそが最も効果的。
  • 小手先のテクニックに振り回されない
    仕組みを攻略しようとする裏技は、技術の進化とともにすぐに無効化してしまう。時代が変わっても揺るがない、本質的な考え方を大切にする。

これからのSEOはどうなるのだろう、と不安に思っていた方も、こうした考え方を理解することで、進むべき方向がクリアになったのではないでしょうか。

AI検索がどれだけ普及し、どれだけ技術が進化しても、検索窓の向こう側にいるのは、何かに悩み、解決策を探している生身の人間です。そのユーザーの悩みを解決するために、分かりやすく、誠実に情報を届ける。この当たり前の姿勢こそが、変化の激しい時代を生き残るための最大の強みになります。

アルゴリズムの細かい変更に一喜一憂する必要はありません。常にユーザーの目線に立ち、親切で信頼できるコンテンツを届けていくこと。目先の変化に惑わされず、ユーザーを最優先にするという基本を、これからも実直に積み重ねていきましょう。